藤子不二雄Ⓐ - ひっとらぁ伯父サン

9月 14 2013

二階の貸し間に引っ越してきた謎めいた男は、温厚そうだが、ヒットラーそっくりの外見を持っていた。
彼は近所の子供たちを手懐け、彼らに規律や向上心を与え、更にはナチスの親衛隊のような制服も与える。

子供達の行う善行は、町の人々を感心させた。
だがそれは、道徳心によるものではなかった。
子供達は彼の命令なら全て受け入れるよう、いつのまにか洗脳されていたのだ。
平和な町は次第に歪な町へと変貌していく。

こうしてあらすじを書きながら思ったのだが、これはスティーブン・キングの一連の作品と非常によく似ている。
異常な存在が平和の町を破壊していく流れはそっくりである。

藤子不二雄Ⓐはこの作品を1969年に描いている。
彼はブラックな作品を多く生み出しており、そこが藤子・F・不二雄との最も大きな違いだ。
そして、そのブラックな作品の中でも最も完成度が高いのが、この作品だと私は思う。

彼の作品で似た傾向の「笑ゥせぇるすまん」は、アニメ化を契機に評価も大きく見直され、大ヒットとなった。
だが、この作品は、今後も一般的とは成りえないだろう。

ヒットラー死亡から70年近くが経過した今も、彼を扱う作品は未だに正しく評価できない状況が続いているからだ。
そうした扱い辛いネタをあえて扱った氏のニヒルな視線に、今も私は感心し続けている。

ちなみに、スティーブン・キングのデビューは1974年である。

リリース: 
1969年

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