スティーブン・オッペンハイマー - 人類の足跡 10万年全史
世界各地の人の遺伝子を分析し、地球の気候の変化との相関を推理することによって、人類の起源を明らかにした、21世紀だから可能となった壮大な歴史書。
これほどページを追うことにワクワク出来る歴史の本は、滅多にないと思う。
歴史と科学が本質的にミステリーであることが実感できる。
現在地球上にいる人類全ては、アフリカを起源とし、アジアを経由し、世界に散らばったと言う。
現人類がアフリカからアジア大陸に移動出来たチャンスは、氷河期と氷河期との間の、ごく短い時期に限られていた。
そして、あるグループはアジア大陸を東に進み、東南アジアに辿り着くと、北上するグループと、南下しオーストラリアに移動するグループに別れた。
東アジアを北上するグループは、氷河に妨げられながらも、アメリカ大陸にまで辿り着いた。
北上と氷河に対応する中で、アジア人独特の平たい顔が優勢となっていった。
ヨーロッパ人は、アフリカからインドまで進んだ後にインドから引き返し、中東からヨーロッパに入ったグループが起源となった…。
こうした分析が、世界の人種の遺伝子の中にある、共通項から読みとれるのだと言う。
遺伝子(DNA)の分析は、大雑把に言って、1990年以降の技術である。
この本の発行は2007年だが、英語版は2003年に発行されている。
わずか十数年で、これほどの事実が明らかになったのだ。
この本が出た後の発見も当然あるだろうが、この1冊にまとめられた内容だけでもとんでもなく感慨深い。
そして推理の流れが実に心地良い。
読んだ後、きっと貴方も、他の誰かにこの感動を分け与えたくなっていると思う。

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