平本アキラ - 俺と悪魔のブルーズ
Submitted by ちゅん
8月
7
2013
音楽の才能は、時に神のようであり、悪魔のようでもある。
悪魔と取引することでブルーズの才能を得た黒人の運命を描く。
舞台は奴隷制度の残るアメリカ南部であり、黒人が安全に生き延びることは容易くなかった…。
この物語は、伝説的なブルース歌手、ロバート・ジョンソンの伝記をベースにしている。
彼はまだ奴隷制度が残るアメリカ南部で生まれ、ギター1本でアメリカを渡り歩いた。
心を揺り動かす彼のギターと歌に、「十字路で悪魔に出会い、魂を代償に、音楽の才能を得た」と囁かれた。
これが「クロスロード伝説」である。
平本は、この伝説をベースに、超常現象の不気味さと、アメリカ南部の無法時代の恐怖を、物語にたっぷりと詰め込んだ。
平本は元々ギャグマンガを描く漫画家だが、この作品はシリアスなホラーであり、ギャグの要素は皆無だ。
絵には黒々とした影が付きまとい、終始冷たい緊張に満たされている。
そして、物語の狭間に描かれる音楽のシーンだけが、不思議な癒し効果を生んでいる。
ただ、残念なことに、現在この物語は、4巻が出た後、止まったままだ。
作者は未完のまま放置する気は無いらしいが、今のところ完結に至る目処は付いていない。
完結するなら、名作と言える作品となる可能性が非常に高いだけに、この先が気になるところだ。
リリース:
2004年