小野不由美 - 図南の翼

7月 19 2013

「十二国記」シリーズの一つ。
このシリーズの中で、私が最も好きな巻である。

僅か12歳の少女が、国を救うために国王となることを決意する。
彼女の勝気で大人びた言動が、次第に周囲の大人達を動かしていく。

十二国記の世界では、麒麟が王を選ぶ。
王と成れる者を、麒麟が見抜くのだ。
だから王と成ろうとする者は、麒麟の住まう危険な蓬山を目指す。

だからこそ成立する物語ではあるだろう。
しかし、彼女の凛とした言葉の、なんと眩しいことか。

私は「十二国記」を、日本のファンタジー文学の中でも、最も優れたものの一つだと考えている。
それは、設定の妙と、主人公たちの魅力による。

しかし、とても惜しいことに、第1巻にあたる「月の影 影の海」は、文体が少々児童向きで、大人が読むにはちと辛いとも感じている。

だからあえて、この巻を推す。

もちろん、最初の巻から読んだほうが、世界観は理解しやすい。
しかし、いきなりこれを読んでも、おそらく本読みに馴れた人なら問題ないだろう。

とりあえず試しに一編だけ読んでみようと思う人は、ぜひこれを読んでみてほしい。

ちなみに、このシリーズは元々ジュニア向けだった。
しかし次第に、大人でも児童でも読める文体に変わってきた。
それは作者の成長でもあったと思う。

リリース: 
1991年

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