ガロ - 学生街の喫茶店
♪君とよくこの店に 来たものさ
♪訳もなくお茶を飲み 話したよ
ガロの代表曲というと、どうしてもこの曲になる。
オリコンチャート7週連続1位、年間で3位、ミリオンセラーである。
1973年はフォークの名曲が次々と生まれた年だったが、その中にあっても、彼らの存在感は大きかった。
その理由は、彼らがTVに出演していたからだ。
当時フォークグループがTVに出ることは、まだ珍しかった。
それは当時のTVの歌番組が、歌謡曲と演歌を中心に構成されていたからだ。
当時、フォークグループにとっては、TVはむしろ敵であり、吉田拓郎に至っては、TVには出ないと宣言していたほどだった。
学生運動の熱が未だ残っていた時期でもあり、「TV=体制側」とみなし、アンチ体制の意味からTVを拒否する者も多かった。
とはいえガロは、望んでTVに出ていたわけではない。
当時彼らの所属していたマッシュルームレコードは、経営難で瀕死だった。
それで、ガロに外部作家の曲を歌わせ、シングルヒットを強引に狙うことにしたのだ。
作詞・作曲は、山上路夫、すぎやまこういち。
共に歌謡曲畑のヒットメーカーだった。
ただし、その売り出し計画は、必ずしも順調だったわけではない。
「学生街の喫茶店」は、最初、「美しすぎて」のB面だった。
そこそこは売れたが、大きなヒットではなかった。
ところが、発売から数ヶ月経った頃、ラジオの深夜放送や有線放送で、この曲に注目が集まり始める。
急遽A面とB面を入れ替えて発売しなおし、翌1973年にTVに出演したことで、彼らの認知が一気に進み、大ヒットとなり、最終的にはミリオンセラーとなる。
これによってレコード会社は持ち直す。
だが、ガロにとっては微妙でもあった。
このままでは歌謡曲グループと認識されてしまいかねない。
彼等は元々、CSN&Yのような音楽を目指していた。
彼等が本当にやりたいのは、ハーモニーのしっかりしたロックだった。
このシングルは事務所の都合で押し切られたものの、彼等は自分自身で作った曲をやりたかった。
彼らとレコード会社との壁に、彼等は当惑していた。
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