あさりよしとお - まんがサイエンス
子供から大人まで、さまざまな「なぜ」を理解するための最短コースとして、この本を、このシリーズを、ぜひお勧めしておきたい。
特に好奇心旺盛な子供がいる家庭においては、絶対に全巻常備すべきマンガである。
学習マンガは、当然のことながら、理論が理解でき、科学センスを持つ者でないと描けない。
間違いを描くわけにはいかないから、綿密な取材や学習が必要だし、内容が正しいかどうかを確認する作業も必要となる。
編集者がサポートしてくれるとしても、漫画家の負担としては相当のものだろう。
そして、理論が正しく描ければいいかというと、そうではなく、それなりに面白く描けなければ、そして分かりやすく噛み砕けなければ、読んでもらえない。
漫画家の負担が大きい一方で、一般の商業漫画のように大ヒットは狙えない。
いくら科学に迫る探究心が支持してくれても、子供は血沸き肉踊るような冒険の方がいいに決まっている。
だから、普通の漫画家は学習マンガを選ばない。
ましてや、商業マンガで一定の成功を収めている漫画家なら、学習マンガは描かないだろう。
その例外があさり氏である。
あさり氏の絵は、一見毒が薄く、あっさりしたタッチが読みやすい。
逆に言えば、個性が薄いのだが、持ち前のセンスの良さもあって、古くなりにくい。
そしてユニークなことに、理論的な説明が大変巧い。
学習マンガに最適な人選であり、同時に、彼には科学を愛する気持ちが強かった。
おそらく彼自身、学研の科学で育ったくちである。
だからこそ、この素晴らしいマンガが描けた。
まんがサイエンスは、この8月に14巻目が出るそうだ。
20年以上にわたって彼はこの仕事を続けてくれている。