Doobie Brothers - Take Me In Your Arms
ドゥービー・ブラザーズは前期と後期、そして再結成後で曲調が異なる。
前期は南部ロック、後期はAOR、再結成後はそのMIXと言える。
この曲の収められたアルバム「Stampede」は彼らの5枚目で、前期の最後のアルバムであり、僅かに後期の予感を孕んでいる。
「Take Me In Your Arms(邦題:君の胸に抱かれたい)」は、キム・ウェストンが65年にヒットさせた曲のカバー。
その曲調の明るさは、ドゥービーの曲の中では飛び抜けている。
シングルチャート11位となり、オリジナルを凌ぐヒットとなった。
彼らは元々アメリカ南部のワイルドさを持ったバンドだったが、初期の彼らの曲には、どこか暗さが滲んでいた。
しかし次第に泥臭さが抜けていくと同時に、曲調も明るくなり、彼らはイーグルスと並びアメリカを代表するロックバンドに成長する。
彼らの前期の絶頂期は、前期のアルバム5枚のうち、後半3枚のアルバムに集約される。
その5枚目のアルバム「Stampede」では、それまでも度々ゲスト参加していたジェフ・バクスターが正式メンバーとなり、トリプルギターとなった。
個性の異なる3本のギターの組み合わせは、彼らの表現の幅を広げた。
「Stampede」は、アルバムチャート4位。
ゴールドディスクも獲得している。
しかし、バンドの顔であったジョンストンの健康が悪化し、彼はこのアルバム録音の後、ツアーにも参加しないまま、バンドを脱退してしまう。
実質的なリーダーであり、作曲とボーカルとギターを担っていた彼の脱退はあまりに大きかった。
バンド継続のため、ジェフ・バクスターの紹介で、マイケル・マクドナルドが参加することになる。
バクスターとマクドナルドは共に、スティーリー・ダンのツアーメンバーだった。
特にマクドナルドには作曲の才能があり、ボーカリストとしても優れていた。
言わばスティーリー・ダンの洗練されたスタイルが、ドゥービーに注入されたのだ。
以降、バンドは力強さは残しながらも、荒々しさを失ない、代わりに、洗練されたAORバンドへと変貌していく。
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