杉作 - クロ號

9月 3 2013

真っ黒い子猫が、ある日「ヒゲ」に拾われる。
鳴けば食べ物を貰える事などから、子猫はヒゲを「メシツカイ」と認識し、ヒゲから「クロ」と呼ばれるようになる。
クロは町を探索しては、新しい発見をし、世界を少しずつ広げていく。

物語はクロの視点で、少しずつ進んでいく。
1話あたり4ページ、途中から2ページなので、本当に断片的な、日常のヒトコマの紹介と言っていい。

他の猫に会ったこと。
イカクされたこと。
生きてるクルマと死んだクルマがあること。
ボスから狩りを教わったこと。
チューボウからいたずらされたこと。
マイゴになったこと。

そんな断片が積み重なって、少しずつクロは成長し、大人になっていく。

猫マンガは結構あちこちで見かけるが、猫目線で、かつ男目線の混じった猫マンガは案外少ないと思う。

このマンガの魅力は、もちろんクロの思考の新鮮さだが、もう一つ大きな魅力がある。
線だ。
筆で描かれた、大胆で、かつ繊細な線が、とても味わい深い、良い味を出している。
この線で描かれると、猫も人間も、独特の魅力を放つ。
無表情なモノも、独特の味わい深いモノになる。

作者の大雑把さも、繊細な優しさも、その大胆な線が見事に表現していると思う。

リリース: 
2000年

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