Roxy Music - More Than This

9月 30 2013

ロキシー・ミュージックのラストアルバム「Avalon」に先行して発売されたシングルで、全英6位。
「Avalon」は全英1位、アメリカでも53位。
ロキシーのアルバムの中で、最も完成度が高いアルバムである。

ロキシーはメンバーチェンジが多いバンドだったが、大雑把に言って、ブライアン・イーノが在籍した時期と、彼が辞めて以降に分けられる。
全期間共通のメンバーは、ボーカルのブライアン・フェリー、管のアンディ・マッケイだけだ。
一度解散するまでと、再結成した後も、サウンドが少々異なるが、それは方向性の違いというよりも、熟成度の違いだろう。

イーノが居た時期は、かなり実験的な、刺激的な音を模索していた。
しかもイーノは当時、耽美的な化粧もしていて、視覚的にも目立った。

フェリーはイーノと事ある度に対立し、結局イーノはロキシーを辞める。
フェリーが「バンドに二人のブライアンはいらない」と言ったという逸話があるが、事実かどうかは謎。
ただ、フェリーとしては、もっと歌いやすいバンドにしたかったのだろう。

一方、イーノが辞める前後から目立ってきたのがフィル・マンザネラ。
彼は最初、イーノのアシスト役や、ミキサーの助手みたいな立場だったが、途中からギタリストとして正式メンバーになる。
非正式メンバーの頃は、ギターの腕はたいしたことなかったらしい。
だが、それが良かったのか、彼のギターは、いわゆるギターらしいサウンドではなく、もっと効果音的な、不思議なサウンド調味料として進化した。
おそらくは、イーノがいなくなったギミックを埋めようとする意図も働いていたのだろう。

フェリーは最初の頃、中性的な怪しさを持つボーカリストで、その独特の歌声が、良くも悪くも目立った。
裏声の多用は個性的ではあったが、どこか神経質そうでもあり、爬虫類めいた気持ち悪さにつながっていた。
だが、アルバムを重ねるに連れ、彼の声は落ち着き、甘く、芳醇となっていく。

「Avalon」は、フェリー、マンザネラ、マッケイ、それぞれが熟成し、最高の品質になった時期に作られたアルバムなのだと思う。

リリース: 
1982年

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