Char - かげろう
♪夏は今年も にぎやかで
♪日傘もボチボチ あらわれた
チャーのデビューアルバムに収録。
作詞はNSPの天野滋だった。
チャーはデビュー前、NSPのアルバムでエレキギターを弾き、ライブではバックもやっていた。
それが縁で、チャーのデビューの際、天野が詞を提供した。
チャーはNSPの曲を暗いと思っていたし、Am7の響きは好きでもAmは嫌いだった。
だが、天野が可愛がってくれたことも、天野の詞の良さも、認めていた。
ロックを日本語で歌うことは、少なくとも当時は、大変難しい問題だった。
日本語で歌っても野暮になってはならず、また歌詞の内容も難しかった。
今ではROCKをサウンドのことだと思っている人がほとんどだろう。
ドラムとベースががっしりリズムを叩き出し、それにエレキギターが乗っていたらROCKだと思っている人が多い。
しかし70年代、ROCKは哲学であり、若者独自の価値観の表明でもあった。
既成の社会ルールを壊し、在るべき形に組み上げ直すことがROCKだった。
英語で歌えば、ROCKらしいサウンドにはなる。
しかし、伝える言葉を無視して歌うことが本当にROCKなのかどうか、当時のミュージシャンは、プロもアマチュアも悩んでいた。
そして同時に、日本語の音節と英語の音節は異なるが故に、日本語をROCKのメロディーに乗せるのは難しかった。
今では軽々と皆がやってのけることも、当時は前例がほとんど無かったのだ。
また、レコード会社は、チャーのギターだけでなく、容姿にも惚れ込んでいたから、セールスのためにも、リスナーが聴きやすい日本の歌を求めた。
チャーは、最初のアルバムで、英語と日本語の両方を使うことに決めた。
だが、自分で日本語の詞を書く気にはなれず、歌謡曲めいた詞も使いたくなかった。
だから、天野に頼んだ。
チャーは、天野の詞の全てが気に入ったわけではなかったらしい。
だが、天野の詞とチャーのサウンドの組み合わせは、和と洋の共存は、予想以上に素晴らしい効果を残した。
コメント
(件名なし)