Brian Eno - Spider and I

8月 19 2013

蜘蛛と私は座って空を見上げている
音のない私達の世界で
僕らは蜘蛛の巣を編む
小さな羽虫を捕らえるために
音のない私達の世界で

今回、1番だけ訳してみた。

蜘蛛の巣は「Web」で、ネットのWebである。
羽虫は「tiny fly」で、飛び交う情報。
世界の情報を俯瞰して集め、そこから大切なものを拾う。
そんな姿勢がこの歌に凝縮されている。

こう書いたら、そのまま信じてしまう人が出てきそうだが、もちろんこれは嘘だ。
当時は未だインターネットなんて無かったのだから。

「tiny fly」は、インスピレーションのことだろう。
「Web」とは、音楽そのもののこと。

実は「Spider」とは、イーノの友人でもあるデヴィッド・ボウイの愛称だ。
当時ボウイは、精神面での疲労も大きく、アメリカからベルリンに移住し、周囲との関係を絶って、イーノの協力の下、黙々と音楽製作に打ち込んでいた。

ボウイとイーノの、そんな生活を歌っているのだ。

この曲は、1977年に出したソロアルバム「Before and after Science」の最後を飾る曲。
このアルバムは淡々としていて地味だが、とても落ち着いた哲学的印象を湛えている。

Roxy Musicでシンセサイザー奏者として注目を集めていた彼が、Roxyを去った後、ソロアルバムを出しながら、次第に音楽理論を深化させ、環境音楽に傾倒していく。
その中間のポイントに、このアルバムはある。

リリース: 
1977年

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