遠藤賢司 - カレーライス

8月 10 2013

君も猫も僕も
みんな好きだね カレーライスが

当時、この曲の価値が、私にはよく分からなかった。
けれど、印象には残っていた。

年月が経ち、まれに聴き返す度に、耳に積み重なるように、印象だけが残っていった。
未だにその価値は、よく分からない。
世代がずれているせいなのか、あるいは「三島由紀夫の切腹事件」に興味を掻き立てられないからなのか、それともまた別の何かのせいなのか。

だけどやはり、まれに聴き返したくなるときがある。

彼女と猫と自分の生活。
ギターがあって、彼女がカレーを作っていて、TVで繰り広げられる政治事件は知っていても、それがリアルな現実にも感じられなくなった自分がいて。

歌で政治を変えられると思っていた時代と、政治に歌が利用された時代。
次第に乖離していった歌と政治、学生運動と政治。

そういう連想だけが、この歌に絡みつく。

おそらく、聴く者によって感じるものは異なるだろう。
けれど、この連想しうるものが、この歌の価値であり、同時に、この歌の仕掛けなのだろう。
だが、そう思いつつも、そう思うこと自体が、遠藤の思惑に嵌まっている気もするし、また逆に、考え過ぎのような気もする。

答えは出ないが、いつも、気になるものが、この歌の底に沈殿していく。

リリース: 
1971年

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