流水りんこ - インド夫婦茶碗

10月 15 2013

国際結婚エッセイ漫画というジャンルがある。
このカテゴリーの漫画には当たりが多い。
なにせネタが濃い。
日本と外国の日常感覚の違いだけでも面白いネタになるし、さらには恋愛から親戚付き合い、育児や学校まで、その感覚の違いをたっぷり思い知らされる。

しかも、この漫画に至っては、相手がインド人で、インド人が日本でレストランを始める話までもが付いてくる。
そしてインド人と知り合ったのは、著者がバックパッカーの一人貧乏旅行にはまっていたからであり、当時の女一人のインド旅行の内容が、これまた濃いのだ。

これほど濃いネタがぎっしり詰まっていたら、面白くならない方がおかしいのではないかとさえ思う。

にも関わらず、さらに面白くなる要因がある。
流水りんこは、流水凜子の名義では、ホラー漫画のベテラン漫画家なのだ。

楳図かずお、水木しげる、魔夜峰央など、ホラー漫画家にはギャグ漫画家としても大成した人が多い。
この流れを彼女も十分に受け継いでいるのである。
おそらく、人間心理を最も観察し描写するジャンルが、ホラーとギャグなのだろう。

実際、彼女の観察力にはいつも感心する。
様々な出来事、様々なハプニングを、丁寧に具体的な絵で描写してくれる様子は、漫画エッセイの域を超え、ギャグ・マンガとしても十分成立しているほどだ。
そしてインド人の夫や、ハーフの息子や娘を描写する際も、とても具体的な話ばかりで、読んでるうちに、次第に本当の知り合いのように感じてくる。

そのせいだろう。
夫のレストランには、この漫画のファンが年中訪れているそうだ。

この漫画エッセイには彼女の人生が、家族の人生が詰まっている。
それを読者は、たっぷりの共感と笑いと共に読むことが出来る。
それは私達読者にとっても、彼女にとっても、彼女の家族にとっても、そしてインドに住む家族や親戚にとっても、とても幸せなことに違いない。

リリース: 
2002年

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