横山光輝 - 水滸伝

7月 11 2013

政治の理不尽さを嘆き、弱者を守ったがために、罪人に身を落としてしまう英雄たち。
彼らを慕う者たちは、いつしか山賊として、梁山泊に集結していった。。。

横山氏の中国歴史ものの第一作。
中国という国のスケールの大きさをマンガの世界で描いた金字塔である。

ほぼ原作通りの内容だが、残虐なシーンや性描写はほぼカットされており、そのためこのマンガには出てこれなくなった登場人物も結構ある。
なにせ、原典はアウトロー(犯罪者達)の物語であり、かなり血生臭い。
英雄どころか、犯罪者としても悪質ではないかと思われる人物も結構いる。
少年誌でまともに描くわけにもいかなかったのだろう。

ましてやこのマンガは、日中の国交が無かった時代に描かれたものだ。
資料探しは大変だったらしく、服や家、町並など、ごく基本的な資料すら不足しており、それを全て想像力でカバーして描いたのだから恐れ入る。

当然、間違った描写も結構あるのだが、大きな破綻も無く、今読んでもその中身の濃さに、登場人物たちの熱き血潮に、そして横山氏の情熱に感化されるほどだ。

わずか8冊(文庫版では6冊)の中に、よくぞこれほどのスケールの大きなドラマを詰め込んだものだと、改めて感嘆せずにはいられない。

リリース: 
1967年

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