柳沼行 - ふたつのスピカ

8月 19 2013

宇宙飛行士を目指す少年少女の物語。
少年少女たち個々の思いと宇宙への憧れを、とても細やかに描き出している。

この作品の特異な点は、ファンタジー要素を盛り込んだことだ。

主人公の少女アスミは、「ライオンさん」という、ライオンの被り物を付けた霊と会話ができる。
その霊と対話することで、アスミは自分の考えを整理していた。

実はアスミが子供の頃、日本初の有人ロケットが墜落し、搭乗員が全員死亡するという事件があった。
「ライオンさん」は、そのロケットの搭乗員だった。
果たせなかった宇宙への夢を、彼はアスミに語る。

アスミは元々、宇宙への憧れを持っていた。
アスミは新設されたばかりの「東京宇宙学校」への進学を決め、そこで貴重な友達を得る。
その友達たちも、それぞれ個々に事情を抱えていた。

「ライオンさん」は、アスミが悩むとき、相談に乗り、助言をしてくれる。
これが彼女の心の動きを丁寧に描き出すエンジンになっているのだが、反面、心の弱さを強調することにもなっていて、これをどう評価するかで、この作品そのものの評価も割れる気がする。

また、訓練の描写以外はリアル感に乏しく、少年少女たちの心や身体が、宇宙飛行士を目指す割りに脆過ぎるのではないか、という疑問も残る。

けれど私は、少年少女たちの心の揺れを丁寧に織り込んだことを、より積極的に評価したいと思う。
少年少女の心の成長の物語としては、共感できる点は多く、登場人物たちの優しい気持ちがいとおしく感じられる。

特に、体育の先生の厳しさと暖かさが、私にはとても楽しかった。

リリース: 
2001年

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