木原浩勝、中山市朗 - 新耳袋

7月 12 2013

膨大な取材を元に現在怪異をまとめた怪談集。

身も凍るがごとき体験談もあれば、ただ頭を捻るばかりの体験談もある。
収録された話の全てが実話とされる(怪しいものはあるが)。

今では怪談の権威となるほどの書だが、最初1990年に扶桑社からこの本が出たときは、さほどは注目されなかった。
しかし1998年にメディアファクトリーから再刊されて以来、全10巻を刊行。
今では扶桑社版はプレミアが付く。
実際、扶桑社版は、闇に溶け込むかのような黒いグラデーションの装丁が、実に怖かった。

扶桑社版が増刷されなかったのは、実は売れなかったからではないという話もある。
扶桑社版では百話収録していたのだが、百話読了した読者から、読後に怪異を体験したというレポートが多く寄せられたため、増刷を中止したというのだ。
そのためか、メディアファクトリー版では話を整理し、99話構成にしている。

文庫版では装丁がすっきりしているため、恐怖感は減っているが、それでも他の怪談集とは異なる趣がある。

TV化映画化もされているが、それはまた別物と考えるべきだろう。

リリース: 
1990年

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