新井祥 - 性別が、ない!

8月 9 2013

世の中には色々な人がいるが、中には性別が無い人もいるというのは、なかなか受け入れられにくい事実だろう。
自己の元々の性を否定する人のことではない。
身体的に男でもあり女でもある人、あるいは、男でもなく女でもない人が、世の中には存在する。

新井はその一人である。
新井は女性として育てられ、女性として結婚もしたが、ある時、自分が半陰陽だと知る。
染色体が特殊だったのだ。

彼女は半陰陽だと知ることで、自身の中の性の不安定さを自覚し、最終的に男として生活することを選択する。
そして性別の不思議を、自身の体験や周囲の様々な例を元に、漫画で伝え始める。
それをまとめたのがこの本である。

基本的に4コマ漫画であり、ノリは明るい。
軽薄に感じる人もいるかもしれないが、性に悩む人、性の不思議を理解したい人には良い教科書だと思う。

小さい頃から女性だと思っていたのに、自分は女性ではなかったというのは、物凄いショックだろう。
普通の人は、ショックを乗り越えてなお、女性としての人生、もしくは男性としての人生を選ぶと思う。

新井もまた、男として生きることに決めたが、女性であったこと、半陰陽であることを隠そうとしない。
これは勇気がいることだ。
本人も凄いし、周囲にも理解ある人が多かったのだ。

氏のような存在が、性の未来を解決していくのだと私は信じたい。

リリース: 
2005年

コメント

ユーザー ちゅん の写真

ちなみに、以下は私見。
 
>染色体が特殊だったのだ。
 
「染色体異常」という言葉もあるが、私はこれを異常とは言いたくない。
何故なら、数千人に一人の割合で必ず生じ、性が不安定である以外には日常生活での問題も無いからだ。
 
生活に大きな支障があるなら、病気と見なし、治せるものなら治すべきである。
だが、本当に大きな支障があるかと言えば、実は無い。
確かに支障はあるが、それは、世の中が通常、男と女を明確に分けられているからであって、これは本人の問題ではなく、社会側の問題だとも言える。
 
また、染色体がノーマルであっても、半陰陽となるケースもある。
 
彼らは異常なのではなく、元々マイノリティーとして第三の性が存在するのだと考えるべきだ。
マイノリティーを積極的に認めることが、開かれた社会への第一歩だろう。
 
性の問題は、科学の進歩によって少しずつ明らかになってきているが、おそらく科学は、この問題を、直接には解決できない。
ただメカニズムを解明するだけだ。
 
解決するのは、社会が半陰陽の存在を認め、彼らの権利が、男とも、女とも、同等であることを認めたときである。
 
ほとんどの人にとって、第三の性は不思議な存在だろう。
しかし、異性も人間であるように、同僚や友人も人間であるように、第三の性も人間であり、隣人となんら変わらない。
その事実を知ることは、ごく普通の男女にとっても、素晴らしい勉強だと思う。

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