山岸涼子 - ゆうれい談

7月 21 2013

彼女の代表作は、大きく2つに分かれる。
一つはバレエであり、もう一つは怪異やファンタジーである。

彼女の絵は、描線が細く、繊細かつ神経質に見える。
だから、心の震えが手に取るように伝わってくる。

けれど、彼女の本質は、心の理性と感情の差分を、明確に捉えることにあるのではないか。

理性で理解していても、感情がざわついてしまう。
怖いと感じてもおかしくないはずなのに、冷静に観察できてしまう。
そのような表現が随所に見られる。

彼女は、怖がらせようとしているのではなく、怖いと感じたときの状況を、ただ的確に伝えようとしているのだ。
だから、余計に怖いし、信用できるとも感じられるのだ。

この作品は、月刊誌「りぼん」の付録だった。
本誌よりも一回り小さなサイズだったし、当時は漫画家同士でアシストし合うのが当たり前だったから、彼女以外のタッチも沢山混じっている。

そして何よりも、まだ初期のタッチだから、彼女にしては描線がかなり太い。
さらに彼女は、この作品では、わざとコミカルな表現を多用している。

だからこそ余計に、彼女の構成力が、表現の誠実さが、よく伝わってくる。

ちなみに、こういう漫画エッセイ形式は、今ではずいぶん増えたが、当時はとても珍しかったものだ。

リリース: 
1973年

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