大矢ちき - 回転木馬

7月 16 2013

彼女の織り成す色の万華鏡は、あまりに魅惑的だった。
しかし、その色の洪水は、ある日突然去ってしまった。
彼女に何があったかは知らない。
しかし、彼女はある日、漫画を描かなくなり、新たな作品が発表されることはなくなった。

彼女がいなくなったことに、多くのファンがショックを受けていた。
私もその一人だった。

彼女の魅力を今の物差しで語ることは、少々難しい。
彼女の描く色の素晴らしさだけは一目瞭然だが、今購入できる彼女の本で、その色の凄さを確認できるのは、この「回転木馬」だけだと思う。
モノクロでは、彼女の凄さは、その半分も伝わってこない。
とはいえ、この表紙を観るだけでも、彼女の色彩感覚の凄さは伝わってくる。

彼女の才能の凄さは、物語の構成力、コマ割にも現れていた。
当時はアート志向の作品がファンを増やしていたから、かなり大胆なこともできた。
デコラティブで甘美なヨーロッパ趣味と、徹底して美形ばかりの登場人物達が、大胆できらびやかな独自の世界を構築していた。
それは当時の乙女たちにとって、理想のドラマだった。

彼女は漫画家を辞めた後、なぜかイラストレーター兼パズル作家となった。
特にパズル作家としては素晴らしい仕事をしている。

リリース: 
1975年

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