サライネス - 誰も寝てはならぬ
東京赤坂の、とあるデザイン事務所の日常をコミカルに描いた作品だが、何故か大阪弁の地の文が常に付く。
この解説(?)文が、かつての講談やラジオドラマのようで、実に味わい深い。
もしかしたら、この地の文こそが主人公ではないかと思えるほどなのである。
デザイン事務所の構成員は、通称「ハルキちゃん」(年上にモテるがヘタレでバツイチ)、通称「ゴロちゃん」(女性遍歴多数で離婚歴3回)、通称「ヤーマダ君」(態度がデカいが実は結構気が回る独身)。
皆40歳前で、大学では同期だった。
それぞれ趣味には少々うるさくアクも強い。
途中から30歳の通称「マキオちゃん」(オタクで根暗で独身)が加わる。
※以下、カギカッコ内は全て通称。
また、バイト員として「ねねちゃん」「巴ちゃん」がおり、事務所に出入りする交友関係として「ヨリちゃん」「中村ハン」など。
ハルキちゃんが心を寄せる相手として、気象予報士でTVのお天気キャスター「岡ちゃん」、下矢凪さんの姪御さんなど…。
またハルキちゃんの飼う猫も事務所を半ば住み家としている。
他にも様々な個性的な(クセのある)人物が登場するが、それぞれ登場人物の人間関係や恋愛模様、趣味、癖などがあれこれ大阪弁で解説されるあたり、なんともとぼけた味わいがあって、実に楽しい。
ゲラゲラ笑うような漫画ではないが、にまにまウヒヒヒと笑える漫画なのである。
ただ、一応ストーリー漫画にも関わらず、コマ割が常に6分割で固定されているあたり、またスクリーントーンを全く使わないあたり、なんとも見た目の構成はそっけない。
字が多いことも相まって、更には登場人物の年齢が割と高いこともあって、おそらくこの漫画を素通りしていた人は多いだろうと思う。
けれど、一度読んで、この独特のテンポに相性の良さを感じたら、もう全部読まずにはいられなくなる。
そう、私はそれでハマッたのだ。