やまさき十三/北見けんいち - 釣りバカ日誌

8月 29 2013

私はこの漫画を、とても不思議な漫画だと思っている。
好きな漫画なのに、物語の先を、たいして読みたいとは思っていない。
普段は、この漫画のことを、ほとんど忘れている。
けれど、読めば、やっぱり好きなのだ。

この漫画をサラリーマン漫画と見なす読み方がある。
社員と上司、社長という関係が常にあるから、この読み方は一見正しい。
サラリーマンというものを知らないと、その枠からはみ出たこの関係の面白さは、確かに理解できないだろう。

けれど、この関係は、どう考えてもサラリーマンという枠からはみ出ている。
中小企業ならいざ知らず、大企業でありえる話とは思えない。
勤め人にとって参考になるような話ではないだろう。

浜崎伝助は、永遠の子供なのだ。
純粋で、好きなことをまっすぐに好きと言える、そういう子供である。
大人であろうと、結婚していようと、子供を持とうと、彼の本質は子供である。

そうした子供であり続けることは、ある意味、男にとって、非現実的な理想なのだ。
だから、読者は彼の自由さに憧れ、彼を愛する。

しかし、だからこそ、これが夢物語であるとも思う。

「普段は半ば、どうでもいいとさえ思っている」のは、おそらく「非現実的な理想」だからだ。
どう物語が進もうと、伝助はネバーランドの住人であり、私は彼には近づけない。
そして、どう物語が進もうと、伝助は、永遠に子供で、変わらない。

私がこの物語を読もうが、忘れようが、彼は永遠にそこに留まり続ける。

私は熱心な読者にはなれない。
けれど、この漫画は、永遠に残っていて欲しいとさえ思う。

たまたま読む機会があれば、彼はまた私を歓迎してくれるだろうから。

リリース: 
1979年

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