つのだ じろう - ブラック団
Q:ギャングが何故人助けばかりしてしまうのか?
A:あまりにもお人よしで人情にもろ過ぎるため。
好きだったなぁ。このマンガ。
カッコよくって、マヌケでドジで、でもスマートだった。
都会のビルの屋根裏に隠れ住む、非情でクールなギャング団を目指す3人組が、ある時は作戦に失敗して、またある時は子供に同情して、犯罪どころか人助けばかりしてしまう…というギャグマンガ。
これも勿論(ギャングと言うよりも)007の影響下にあるマンガなのだが、007に憧れる気持ちをギャグに昇華したところが新鮮だった。
今にして思えば、ルパン三世にも影響を与えていたかもしれない。
(ぜひ1巻のカバー絵を見てほしい。)
つのだ氏の絵は、ギャグにしてはクールで、初期から劇画の影響を受けていた。
その劇画部分が大々的に開花するのは、もっと後の話。
この頃はむしろ、万人に愛される笑いや人情味が、彼の持ち味だった。
つのだ氏はあのトキワ荘のメンバーでもある。
彼はそこには住んでいなかったが、年中押しかけて、皆と語らいでいたという。
ほかのトキワ荘メンバーは、当時、劇画のタッチをほとんど取り入れなかった。
あの石森氏でさえも、劇画調になるのはかなり経ってからだし、藤子不二雄Ⓐ氏のそれは劇画というより挿絵だろう。
この違いは、彼の「住んでいなかった」という距離感も影響していたのかもしれない。