あずまきよひこ - あずまんが大王

7月 18 2013

4コマ漫画の革命だったのだと思う。
一見ごく普通の学園4コマ漫画のように見えて、中身はそれまでのそれとは大きく異なっていた。
丁寧にキャラクターを設定し立たせることで、新次元の漫画が成立したのだ。

読者が漫画に求めることは、多くの場合、非日常である。
現実とは異なる発見が、現実とは異なる展開が、漫画の世界をわくわくさせている。

だからこそ、多くの漫画では、その漫画を特徴付けるために、魔法や特殊能力を用意する。
特殊な世界観の導入によって、独自の漫画世界を構築しようとする。
これは娯楽系テーマパークの設計と、基本的に同じだ。

もう一つの手法は、魅力的な人物を作ることだ。
スポーツ漫画の多くが、あるいは、古い4コマ漫画の多くが、この手法を使っている。
だが、この方法は、キャラクターの魅力が薄ければ、つまらない漫画になりやすい。
だから主人公の超人化に陥りやすい。

主人公に特殊性を与えることなく、登場人物を魅力的に見せるためには、どうしたらいいか。
個性のある人物造形こそが、その解であった。
あずまんが大王は、それに徹底的に拘った。
登場人物一人一人に独自の個性を与え、その個性を生かせるよう、エピソードを配置した。
そして、個性のぶつかりの中から、物語やギャグを作っていった。

以降、日本の多くの漫画が「萌えキャラ」の造詣に走るようになる。

「キャラを立たせる」は漫画の基本である。
その意味において、あずまんが大王は基本に忠実な漫画である。
だが、これほど個性的なキャラクターが多いにも関わらず、「特殊すぎる」と感じるキャラクターはそれほどいない。
このバランスの妙が、あずま氏の優れた持ち味なのだ。

リリース: 
1999年

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