いのうえさきこ - 私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ
料理のうんちくマンガは、いつの間にか膨大な量になろうとしているが、うんちくに感心することと美味しい料理を食べることには、とても大きな溝が存在する。
適度なうんちくは料理を評価する舌を育て、食事の楽しみを増やしてくれるが、得てしてうんちくを並べる者は無神経な者であることも多く、うんちくによって食事の楽しみを奪われ、料理を味気ないものにされてしまったという、腹立たしい経験を持つ方も多かろう。
これは、そうした腹立たしい経験に涙した者に捧げられたマンガである。
大量のうんちくを並べることで料理の知識を増やせると同時に、並べ過ぎることがいかにウザい行為であるかを体験でき、最終的に、そうしたウザい奴らを叩きのめす方法のガイドともなっているから、なかなかお得。
絵柄は可愛く、チャーミングで、テンポも良く、最後はしっかり笑いに落としてくれるから、ウザさの怒りを引きずることも(あまり)ない。
いのうえさきこのマンガは、いつも人にやたらと怒っている印象がある。
怒っているほどではない場合も、やけにやたらに突っ込みを入れていることが多い。
決して憎いわけではなく、ちょっとしたイラツキなのだが、そのイラツキ具合いが案外心地良い場合と、しつこくてシンドイと感じるときがある。
読む側の余裕にもよるのだろう。
友達同士や身内の小さな喧嘩や突っ込みに対して、優しく笑えるだけの余裕があるときと、やたらと神経に触ってしまうとき。
だから、気持ちに余裕が無い時はお勧めしない。
けれど、そういう怒りやイライラの向こうに、身内としての安心感や優しさも感じるから、安心して突っ込みを眺め、笑っていられるのだ。
怒りやイライラをうまく笑いに転換できるのは、やはり関西出身者ならではの得意技なのだろう。
彼女は滋賀県出身で、20代を大阪で過ごしている。
漫画家兼イラストレーターであり、作品の多くはコミック・エッセイである。
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