XTC - Dear God
♪親愛なる神様 手紙は届きましたか?
♪貴方が地上の人間を救ってくださることを祈ります
少年の声で始まるが、次に荒々しい男性の声に代わる。
祈っても、飢える人が減らず、争いが起きることへの怒りを、男は歌わずにいられない。
XTCはイギリスのロックバンドで、リーダーはアンディ・パートリッジ。
パンクなざらついたサウンドと、ひねくれてなおピュアな音楽性、そしてポップスの温かみを併せ持つ。
彼らが作ったアルバムの中で、最もアンディが気に入らなかったアルバムが、この曲の入った「Skylarking」だ。
特にこの曲は、「Skylarking」のイギリス版ではカットされ、シングルのB面としてのみの扱いとなった。
ところが、この曲がラジオで流れるや、問い合わせが殺到し、急遽A面扱いで再発売されたという経緯を持つ。
このアルバムは、トッド・ラングレンがプロデュースしたことで有名。
当時、XTCは売り上げが伸び悩んでおり、心機一転とばかりに、トッドにプロデュースを任せたのだが、トッドのスタジオに缶詰になり録音したものの、アンディは事あるごとにトッドと対立した。
その対立の中でも最も深刻だったのが、この少年のボーカルである。
トッドはこの曲をシングルカットしようと考えていて、曲に起伏を持たせるために少年の声(実際には少女の声)を使ったのだが、アンディは最後まで自分のボーカルを使うよう主張した。
対立は収まらず、アンディはマスターが完成する前に帰国してしまう。
トッドは呆れ、一人でマスターを完成させ、レコード会社に納品したが、アンディはこの曲をカットするよう強く主張し…。
あとは先に書いた通りの展開となった。
結局のところ、トッドのオーバー・プロデュースと、アンディの我の強さ、その両方が原因だろう。
特にアンディは、他者の判断を受け入れること自体を許せなかったフシがある。
だが、この曲は…間違いなく名曲である。
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