諸星大二郎 - 暗黒神話

7月 19 2013

諸星は、様々な日本神話や古墳の謎を、怪異や怪物の存在を前提に再解釈することで、恐るべきドグマに満ちた呪術世界を描き出す。

特にこの作品では、断片的ないくつもの神話がジグソーパズルのように組み合わさっていき、次第に謎が解明されていくところが醍醐味だった。

軸になるのはヤマトタケルである。
そしてそこに、縄文土器、甲賀三郎の秘宝、古代文字、出雲神話、巨石信仰、馬頭観音、餓鬼、邪馬台国、武内宿禰など、様々な古代の不思議が絡みつき、巨大な、摩訶不思議な物語を編み上げていく。

今読み返してみると、全部で200ページにも満たない。
よくぞこれだけの要素を詰め込んだものだと思う。

だが、それでも週刊誌(週刊少年ジャンプ)での連載は、謎解き向けとは言い難かったのではないか。

おそらく彼は、熱烈なファンと、全く読まない読者に分かれる作家だ。

彼が手塚賞に新人として応募したとき、あまりにも完成度の高いシナリオと、下手な絵とのギャップに、盗作嫌疑がかけられたという逸話がある。
確かに、いわゆる「漫画の上手い絵」とは異なっていた。
しかし、彼の独特のタッチは、彼の世界観を示すための合理的な選択でもあったのだ。

リリース: 
1976年

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