漆原友紀 - 蟲師

7月 10 2013

日本の明治もしくは大正時代に似た架空の世界を舞台に、様々な蟲による不思議な現象と、それに翻弄される人の情を描く。

蟲とは、ここでは虫ではない。
虫や菌に近いが、もっと霊的な、訳の分からない存在である。

ある蟲は人に化け、ある蟲は人の心を蝕む。
幻を見せる蟲もあれば、時空を歪める蟲もある。

無論、普通の人には理解できない存在である。
しかし、蟲師は蟲に魅入られた存在であるが故に、蟲がある程度分かる。
だから蟲による不思議を、蟲による不幸を、彼は解き続ける。

言わば、怪奇を解決していく物語なのだが、この怪奇には憎悪や怒りが無い。
無いは言い過ぎでも、薄い。
不幸で辛い結末はあっても、血みどろの結末は無いのだ。

深々と雪が降り積もるかのような時間の流れが、この作品に独特な香りを与えている。
それは緑の濃い竹林のようでもあり、わずかな陽だまりに顔を出した花のようでもある。

時間があるときに、ゆっくり味わってほしいコミックだ。

リリース: 
1999年

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