柳広司/霜月かよ子 - Dの魔王~ジョーカー・ゲーム~
Submitted by ちゅん
8月
11
2013
いわゆるスパイ・アクションものだが、007やMIとはかなり異なる。
時代は第二次世界大戦より更に数年前。
戦時のスパイ機関という、少々特殊な、いや、ある意味、よりリアルな舞台での、スパイ活動を描いた作品。
原作名は「ジョーカー・ゲーム」で、漫画化の際に「Dの魔王」というタイトルで連載された。
本物のスパイは、007のようなヒーローではない。
スパイとばれてはならないし、本名も経歴も秘密でなければならない。
特殊な武器も無いわけではないが、所詮昭和初期の技術である。
身分がばれてはならないということは、特別なスパイ道具など、そうそう持ち運べるはずもないのだ。
では何で戦うかと言えば、知恵と観察力である。
頭脳明晰であり、機知に富むこと、相手の考えをいかに読み、先回りするかだけが、彼らの武器と言っていい。
だから「ジョーカー・ゲーム」なのである。
当然、話の内容も、もっぱら推理と心理戦になる。
いかに相手を出し抜くか。
派手なアクションなどほとんど無いが、これはかなり面白い。
もちろん登場人物だけではなく、読者も推理に参加し、勝負させられることになる。
モデルは陸軍中野学校の前身、後方勤務要員養成所だそうだが、戦時の事情など知らなくとも、推理が好きな人なら、読む価値は十分だろう。
リリース:
2009年