押切蓮介 - でろでろ

7月 25 2013

「でろでろ」は、不気味なホラー漫画であり、同時に、笑えるギャグ漫画である。

ホラーよりはかなりギャグ寄りだから、不気味なギャグ漫画だと言ってもいい。
しかし、不気味なギャグ漫画と言い直したところで、ではこのジャンルに含まれる漫画はどれほどあるのかと考えてみると、数えるほどしか見当たらないのだ。

ギャグとホラーは裏表だと、確かに言われるものの、その裏と表を同時に成立させてしまう漫画というのは、かなり珍しい。

話は案外、たわいないものが多い。
絵そのものも、どちらかと言えば可愛い。
特に作中の女の子(特に主人公の妹)は、可愛らしく描かれている。
登場するモンスターも、どこか可愛い雰囲気が残る。

だが、描線が…どこか異常だ。
気を許すと崩れてしまいそうな、歪な不安定さがある。

この歪さは、普通は絵が下手な人に見られるものだが、押切は決して絵が下手なのではない。
可愛く見せたいものと、不気味に見せたいもので、歪の程度を意図的に変えている。
確信的に、歪の度合いをコントロールしているのだ。

そして、登場人物が恐怖に慄く表情も、読む者に恐怖を伝染させている。

怖いけれど笑えるのか、それとも、恐怖のあまり、笑ってしまっているのか、その判断すらも曖昧になっていく、不思議な感覚の漫画である。

リリース: 
2003年

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