岩明均 - 七夕の国

7月 7 2013

岩明氏は特異な漫画家である。
天才であるが故に、結果として、凡庸な作品と、天才的な作品とに分かれてしまう。
そういう特殊な作家である。

彼の作品は「寄生獣」が最も素晴らしいが、今日は七夕であるし、今回はあえて「七夕の国」を取り上げたい。

この作品は、結果として寄生獣ほどの深みには到達できなかったが、しかし同様に、彼でなければ描けなかった作品である。

この物語には2つの軸がある。
一つは、超能力や異星人への好奇心であり、もう一つは、架空の歴史の謎解きである。

前者の考察は消化不良で終わってしまった感があるが、後者の方は、地形の謎、旗の絵の謎、七夕祭りの日取りの謎が解決されていく流れは、かなり見事だったと思う。

こうした哲学的、学者的なイマジネーションの展開は、彼ならではのものだ。
諸星大二郎星野之宣を超える、数少ない作家だと私は思う。

岩明氏は寄生獣の後、歴史物の短編をいくつか描き、その後この作品を描いている。
歴史物がこの作品のための助走だったのか、それとも歴史物を描いたことでこの作品の着想を得られたのか、いずれにしても興味深い。

リリース: 
1996年

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