大貫妙子 - CARNAVAL
♪祭り上げる familiar angel
♪ただ無口な mob-bish vulgus
大貫の4枚目のアルバム「ロマンティック」の1曲目。
私はこのアルバムが、本当の彼女のデビューだったと思っている。
シュガーベイブ解散後、彼女は既に3枚のアルバムを出していたが、この仕事を続けていくべきか、迷っていたという。
おそらく彼女は、自分が歌いたい曲、作りたい曲のイメージはあっても、それがヒットにつながる曲になるという自信は持てなかった。
時代と自分自身との距離を、彼女は感じ取っていたのだ。
しかし、曲を出すということは、売れるためでもある。
その気持ちを整理するのに、彼女は2年かかった。
そんなタイミングで、彼女を導いてくれたのは、牧村憲一だった。
彼はかつて中津川フォーク・ジャンボリーの実行委員やシュガーベイブのマネージメントをやっていた人だ。
彼はプロデューサーとして、彼女に「ヨーロッパっぽい音楽」を勧める。
そして彼女の片腕になってくれたのが、YMOで活動する坂本龍一と、既にヨーロッパの音に拘っていた加藤和彦だった。
彼ら二人は編曲者として、丁寧に彼女の曲を仕上げていった。
彼女の歌い方も、曲の作り方も、このアルバムでずいぶん変わったと私は思う。
二人のアレンジに助けられながらも、彼女独自の世界観を明確に音に組み立てたのが、このアルバムだった。
この曲は坂本龍一の編曲で、実質YMOが演奏している。
ギターは大村憲司だ。
けれど、いわゆるYMOサウンドとは、また少し違った印象が残る。
彼女と坂本、YMOとの間で、しっかり綱を引き合った結果だろう。
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