ディーン・クーンツ - オッド・トーマスの霊感

7月 9 2013

若者がクーンツを読むなら、まずはこれを勧めたい。

クーンツに「はずれ」は少ないが、よくよく考えてみると、若者を主人公にした彼の作品も、案外少ないのである。

そして、主人公が若いせいなのか、この作品におけるクーンツは、この作品より前のクーンツよりも若返っている気がする。

クーンツは、スティーブン・キングと似た作家である。
彼らは共に超常現象を扱い、不思議な世界、恐怖に染まった世界をリアルに描く。
心理描写やサスペンスの面において、彼らはとても良く似ている。

しかし、全く異なる点がある。
キングは悪に飲み込まれる恐怖を描くが、クーンツは悪に飲み込まれまいと逆らい続ける心を描くのだ。

常にクーンツは健全な側にいる。
だから、キングよりは怖くない。
しかし、その健全さが、自分の中の何かを鼓舞してくれる。

オッド・トーマスは、明確に、正義の側に居る事にこだわり続ける。
誰かを助けたいと常に願い、その為に生き続ける。
だからこそ、恐怖に打ち勝っていけるのだ。
この意思の力強さを、私は支持したいのだ。

リリース: 
2004年

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