サディスティック・ミカ・バンド - 四季頌歌

7月 17 2013

降り積む雪は音を隠し
凍えた眠りに息も秘む

日本ロック史において、最も重要なアルバム「黒船」から。
日本の四季の情緒をあでやかに歌い上げた曲だ。

まず松山猛の歌詞の和テイストが素晴らしい。
冬から始まり、春、夏、秋の美しい風景と、そこに溶け込む人の暮らしが、ごく短い言葉で鮮やかに記されている。
それにあてた加藤和彦のメロディーも印象的だ。
ごく短いセンテンスとメロディーにまとめたことで、和歌や短歌のように、季節毎の芳醇な香りが凝縮されている。

だが、それ以上に素晴らしいのが、各季節の移り変わりにあたる間奏部分に織り込まれた、シンセ、エレキ、フルート等のソロパート。
ある時は清清しく、ある時は陰鬱に、ある時は鮮烈に、ある時は美しくも情緒豊かに、四季の彩を盛り上げる。

これは言わば、組曲としての構成である。
単に各メンバーのソロを組み込んだのではなく、各季節のテーマに沿って丁寧に構成されていることから、実は加藤は「プログレッシブ・ロック」を試みていたのではないかと私は思う。

ミカ・バンドをプログレと見る人はあまりいないと思うが、おそらくこのアルバムでの加藤のもくろみは、「グラムロックからプログレまでをカバーし、しかもそれを和で表現できるバンド」だった。

それが加藤の考えた、「世界に通用するバンド」だった。

リリース: 
1974年

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